守ることに囚われない
守ることに囚われない
大事なものを失いそうなとき、私たちはそれを守るために相手を傷つけてしまうことがあります。
「正当防衛」もその一例ですね。自分を守るためだから、暴力を振るうのは仕方がない…。
叩く、殴る、物を投げるといった直接的なことだけでなく、言葉や態度で人を傷つけることも暴力です。
ヨガ八支則の「ヤマ(してはいけない規則)」には暴力をふるわないという意味の「アヒンサー」という教えがあります。
私たちは家族、車や家、財産や仕事、地位……と守りたい、大事なものをたくさん持っています。
たくさんの守らなければならないものがあると、何をするにも、まず守ることを考えてしまいます。守りの姿勢に入ってしまうのです。
ずっと、守ることばかり考えていると、人生を楽しむことや、生きることについて考えたり、理解したりする余裕がなくなります。
いま、この人生を生きているのは私自身なのに、生きることについて考えないということは、「私」について考えないということ。
つまり、いつまでも自分を理解できない……。
では、どうすれば「守る」ことに囚われなくなるのでしょうか。
人が防御の姿勢になる時を、心の流れで考えてみましょう。
(1)「大事なものが失われる!」と感じます。
(2)心が「守りなさい」と指令を出します。
(3)その指令に従い、大事なものを守るために、私は暴力を振るう。
この、(2)から(3)の間で、心をコントロールするのです。
心の指令に対して、「いや、その指令は間違ってるよ、守らなくてもいいんだよ」と断ってみてください。
「アヒンサー(暴力をふるわない)」は修業の一つです。
自分が守ろうとしているもの、執着しているものを知り、それに対する心の指令を断つ。
それは、自分の心をコントロールするために、とても有効なのです。
yogi vini